このページでは、Interledgerとは何か?について、はっきりとわかるように解説します。
☰もくじ
- Interledgerとは何ですか?
- インターネットの成り立ちとInterledger
- インターレジャーは何の役に立つの?
- インターレジャーを支える技術的側面
- インターレジャーを採用している企業・団体
- インターレジャーとXRPの関係性
- インターレジャーとリップル社の関係性
- インターレジャーの問題点
Interledgerとは何ですか?
Interledger(インターレジャー)とは、かんたんに言えば Internet of Value(IoV)を実現するための鍵となる技術です。
送金の世界は分断されている
現在の世の中では、価値・通貨・株式・など、それぞれのデータが記録されている場所が分断されており、相互に送信することができない。※Ledger=元帳 が分断されている世界 です。
たとえば、クレジットカードから銀行口座に送金することは難しいですし、とくに海外送金では、日本からインドに送金をしようとすれば時間がかかります。これだと不便ですよね。
と考えたのが、Interledgerの始まりです。
インターネットの成り立ちとInterledger
今では当たり前にあなたも私も利用しているインターネットですが、インターネットの初期にはネットワークが分断されていて、だれもが海外や知らない人にデータを送信することは不可能でした。
なぜなら、インターネットの初期には物理的にもプロトコル的にもサーバーやネットワーク、通信規格が分断されていて、ネットワーク会社ごとに縄張り争いをしていたからです。
しかし、異なるネットワーク同士を相互につなぎあわせる「インターネット・プロトコル」が生まれたことにより、1991年ごろから本格的にインターネットが利用されるようになりました。
1990年代のインターネットは、フロッピーディスクとブラウン管ディスプレイで起動しており、画像を1枚転送するにも何十分も待たなければいけないほど不便なものでした。
しかし、情報通信技術とインフラの発展により、この30年間で驚くべき進化を遂げました。
これがインターネットの歴史ですが、Interldeger(価値のインターネット:IoV)は、それと同じことを価値送信の世界で起こそうとしているワケです。( ̄∇ ̄;)かなり壮大な計画ですね。
インターネットがない1980年代の人が、電話機と手紙だけであたりまえのように連絡を取り合っていたのとおなじように、インターレジャーがない2022年の私たちは、インターレジャーなしでも「それが当たり前でしょ」「インターレジャーが何の役に立つの?」という疑問しかありません。
テレビがない時代の人は、新聞を読むのが当たり前ですし、農業が無い時代の人は狩猟/採取のみで生きるのが当たり前でした。
Interledgerの価値転送技術が実現することにより、社会・文明を支えるインフラとしてさらに世の中はデジタル化(金融のデジタル化)が進んでいくことになります。I
インターレジャーは何の役に立つの?
インターレジャーの興味深い点として、インターネットを通して価値を情報の送信とおなじように、ほぼゼロコストで即時に大量に送信できるようにする。という技術です。
これが何の役に立つのか?と言えば、メタバース/VR/AI/モノのインターネット など、これからの令和時代のわたしたちの生き方と深い関りをもつようになるかと思います。
これは独断と偏見ですので、だれも未来を正確に予測することはできません。
イーロン・マスクは完全自動運転を実現する。と言いましたが、まだ実現は先のようです。
とにかく、世界は前進し続けています。
インターネットがない時代にLINEやGoogle、Twitterがなくても不便に感じなかったのと同じように、インターレジャー・メタバースが存在しない世界では、それが当たり前と価値観を受け入れてしまっています。
しかし、インターレジャー・メタバースが十分に普及する2030年~2040年には、インターレジャーなしでは生きていけない。という状況がやってくる可能性があります。
なぜなら、インターレジャーはあらゆる価値送信のためのインフラだからです。
インターレジャーを支える技術的側面
実際のところ「インターレジャーは、どうやって価値のインターネットを実現するの?」と言えば…、
- 価値を小さなパケットに分断・均一化する
- 本当に小さなパケット上の価値を、情報とおなじようにネットワーク上で高頻度に送信する
- インターネットを支える「プロバイダ」のように、価値転送を支える「インターレジャー・プロバイダ」がインターレジャーを提供する
- 最新の分散型元帳技術により、超高頻度少額決済を可能とし、まるでインターネットとおなじように価値転送をとりあつかう仕組み
- お金を情報として送信できる
インターレジャーでは、基本的に価値を細切れの「パケット化」することにより、効率よく低コストでリスクなく価値の転送をおこなうしくみです。(※日進月歩の分野であり、将来的に変更される可能性があります。)
すこし難しい話になりますが、インターレジャーはあくまでプロトコル(共通の規格)であり、インターレジャーに対応するソフトウェアで元帳(レジャー)を制御することにより、インターレジャーによる送金が実現されます。
インターレジャーを採用している企業・団体
インターレジャーに対応するソフトウェアを開発している事業としては「RippleNet」「Mojalop」「Interledger財団」などがあり、Coilのスピンアウトである「Tigger Bettle」が革新的な財務管理データベースを発表しています。
おそらく、PolySign/Standard Custody も一枚嚙むでしょう。
結局のところ、インターレジャーは異なる価値の元帳(レジャー)同士を、相互に効率よくつなぎ合わせるための規格(プロトコル)です。
世界ではあらゆるカストディ企業・分散型財務管理データベース・証券決済会社、などの技術ベンダーが林立していますが、インターレジャーはそれらすべてを包括して相互運用することを目指すことができる技術です。
1つの技術ベンダーが市場を独占することはできないことを前提にして、インターレジャーという共通規格を採用することにより、インターネットのように自由に超低コストで価値を送金できるようにしようという試みです。
インターレジャーとXRPの関係性
XRPは価値を決済するための公共インフラとしての元帳に位置づけられています。
価値をパケット化して送金するにしても、何かしらお互いに決済事業者同士が価値を担保(ロック)して、信頼できる形で定期的に決済(Settlement)する必要があります。
パケットの価値の裏付けを、プログラム的に担保できる仕組みです。
必ずしもインターレジャー決済にXRPは必須ではありませんが、グローバルに価値を効率よく信頼できる形で低コストに決済できる手段として、第三者リスクのないXRPが採用される可能性があります。
インターレジャーの表面ではILPパケットにより価値転送をおこない、バックエンドでは定期的にXRPにより決済をおこなうしくみ。※これはあくまで一例です。
インターレジャーの技術は日々進化を遂げており、最新技術では上記の決済方式とは大きく異なる可能性があることに留意されてください。
とくに、サイドチェーン技術の採用により、トークン化による価値の転送およびAMMによる流動性などが関与する可能性があります。
インターレジャーとリップル社の関係性
インターレジャーは元々、リップル社の元社員が考え出したものです。
ただし、あくまでリップル社は国際送金ネットワーク「RippleNet」をもちいて主に銀行間送金をサポートしている企業であり、これはインターレジャーの全体像の一部にしかすぎません。
RippleNetはいち早くインターレジャーの技術を採用し、銀行間の送金ネットワークを価値のインターネットの世界に呼び込みますが、実際には中央銀行の元帳(レジャー)、モバイルマネー、暗号資産、その他のあらゆる価値がインターレジャーに接続される予定です。
そのための技術の1つとして、Coilからスピンアウトした「Tigger Bettle(タイガービートル)」という分散型財務会計データベースのベンチャーがあります。
インターレジャーの問題点
インターレジャーの問題点としては「時代が俺たちに追いつかないぜ」的な部分があります。
- 法律上、分散型システムによる価値決済をどのように規制するか?
- 国境を越えたAMLに対する、分散型システムの対応(※おそらく、問題なし)
法律・規制面の動きには時間がかかるため、5年~7年ほど待つ必要がありそうです。
リップル社とアマゾン社
リップル社とアマゾン社は共同プロジェクトに参加するなど、協力関係にあるようです。
リップル社とデジタルアセット社
デジタルアセット社はエンタープライズクラスの分散型マルチアプリケーションを得意とする企業であり「Damlhub」など、BIS、香港証券決済の「Hong Kong Exchanges and Clearing (HKEX)」など、決済関連の金融機関を顧客に持ちます。
リップル社と競合するのか、協力するのかは調査する価値があります。
いずれにせよ、Interledger規格は分散型元帳を含むあらゆる価値を接続するためのプロトコルであり、インターレジャーが成功すれば必然的にデジタルアセット社のDamlも接続される可能性があります。
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